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第 4 話
日本最大級のシロアリとは?研究者が選ぶ注目の2種!
日本では現在、24種類のシロアリが確認されています。その中でも今回は、研究開発課スタッフが注目した「オオシロアリ」と「ナカジマシロアリ」の2種をご紹介します。
知られざる生態や特徴を通して、シロアリの奥深い世界をのぞいてみましょう。
日本のシロアリの種類と特徴
日本国内には24種類のシロアリが確認されています。一般住宅に被害を与える種は限られていますが、自然界には多様で興味深いシロアリが数多く存在しています。
日本国内には24種類のシロアリが確認されています。一般住宅に被害を与える種は限られていますが、自然界には多様で興味深いシロアリが数多く存在しています。
日本最大級のシロアリ!オオシロアリ (Hodotermopsis sjostedti)とは?
日本に生息するシロアリの中で最大種とされるオオシロアリ。その大きさや生態、分布域についてご紹介します。
オオシロアリ
オオシロアリの生息している木
生息地と分布
主に鹿児島県以南や高知県足摺岬に分布し、林内の湿った朽木の中に大きな坑道をつくって生活しています。
コロニー規模と生態
コロニー数は数百~数千頭ほどで、ヤマトシロアリやイエシロアリと比較するとやや小規模です。朽木内部に広い空間をつくり、その中でコロニーを形成して生活しています。
驚きの大きさ!ヤマトシロアリとの比較
オオシロアリの体長は1cm以上、兵隊アリでは1.5cmを超える個体も存在します。
当社が家屋で一般的に防除しているヤマトシロアリの体長が約5mmであるのに対し、オオシロアリは約2倍以上の大きさです。兵隊アリは大きな顎を持ち、まるで“クワガタ”のような迫力があります。実際に噛まれるとなかなかの痛さです。
ヤマトシロアリ(兵隊アリ)とオオシロアリ(兵隊アリ)を並べた写真を見ると、その違いは一目瞭然です。
ヤマトシロアリとオオシロアリの比較(大きい方がオオシロアリ)
ネバダオオシロアリとの違い
オオシロアリが属するダイオウシロアリ科には、アメリカ太平洋沿岸を原産とする外来種「ネバダオオシロアリ」も含まれます。どちらも大型種ですが、兵隊アリの頭部形状を比較すると違いが見られます。
あくまで個人的な印象ですが、飼育しているとネバダオオシロアリは環境変化への適応力が高く、ややたくましいイメージがあります。
オオシロアリ(左)とネバダオオシロアリ(右)の兵隊アリ
家屋被害の報告と今後の可能性
近年、高知県足摺岬において、オオシロアリによる家屋加害の初報告がありました(松岡,2014)。これまで家屋被害を出す種という認識がほとんどなかったため、非常に驚かされました。
地域的に隔離された個体群がどのような変化を遂げるのかは、今後の研究課題のひとつです。将来的には、防除対象種の動向にも注意が必要になるかもしれません。
光沢のある美しいシロアリ!ナカジマシロアリ (Glyptotermes nakajimai)とは?
続いてご紹介するのは、レイビシロアリ科(麗美白蟻科)に属するナカジマシロアリです。麗美の字の通り、体に光沢があり、見た目の美しさが印象的な種です。
生息地と特徴
福井県や黒潮沿岸地域、小笠原諸島などに分布し、広葉樹の枯枝や腐朽が進む前の枯れ木に生息しています。現在のところ、家屋被害は確認されていません。
エンジェルウィング(天使の羽)と呼ばれる幼虫期の特徴
ナカジマシロアリには、幼虫の特定の時期にのみ見られる「エンジェルウィング(天使の羽)」と呼ばれる背中の突起があります。
では、なぜこのような構造が現れるのでしょうか。
残念ながら、その詳しい理由はまだ解明されていません。小さな体に現れる不思議な構造は、研究者にとっても興味深い存在です。
ナカジマシロアリが生息している木
木の中から取り出した個体の写真です。一見すると“羽”のようなものは見えませんが、矢印の先にいる小さな個体に注目してみてください。
拡大すると、背中に左右2個ずつ突起があることが確認できます。これが「エンジェルウィング」です。
ナカジマシロアリの幼虫期の個体
ナカジマシロアリのエンジェルウィング
まだまだ奥深いシロアリの世界
シロアリというと大量発生のイメージから「怖い」「不快」と感じる方も多いかもしれません。しかし、1匹ずつじっくり観察してみると、その形や仕組みは実に精巧で興味深いものです。
今回は2種類をご紹介しましたが、日本にはまだ多くの魅力的なシロアリが存在します。今後もさまざまなシロアリの生態を紹介していきます。
参考文献
- 山野勝次:しろありNo.55、17‐25、1998.1
- 森本博(1959.1.1)白蟻読本‐生態・被害・対策‐昭晃堂
- 鈴木英明:家屋害虫 Vol22 No.1、29-35、2000.6
- 公益社団法人 日本しろあり対策協会『しろあり及び腐朽防除施工の基礎知識新版』
更新日:2026年3月21日
<監修者>
- 北海道大学 理学部 卒業
- 北海道大学大学院 環境科学院 修士課程修了
- しろあり防除施工士
- 蟻害・腐朽検査士
- 文化財虫菌害防除作業主任者
- 文化財IPMコーディネータ
学生時代、シロアリの兵隊分化に伴う唾液腺の分化転換というテーマで研究。 現在は当社独自のシロアリ防除法の開発・改良をはじめ、生態観察や羽アリ発生予測、 社内外への情報発信、新商品提案まで幅広く担っている。









